《フランスの山人の歌による交響曲(フランスのやまびとのうたによるこうこうきょく、フランス語: Symphonie sur un chant montagnard français)》作品25は、ヴァンサン・ダンディが1886年に作曲した交響曲で、ダンディの数ある作品のうち、今日かろうじて演奏されるほとんど唯一の作品。題名に示されているように、主要な主題はセヴェンヌ地方で記録した民謡が充てられている(同地は山岳地帯であり、そのため「セヴェンヌ交響曲 Symphonie cévenole 」という別名も存在する)。交響曲としては異例なことに独奏ピアノの存在が目立っているが、交響曲の一種であるためか決して支配的であるわけではない(このパターンはファリャの『スペインの庭の夜』で他の例を認める事ができる)。ピアノはオーケストラに寄り添っているため、協奏交響曲に近い効果をもつ。『ラルース世界音楽事典』では「この作品は熱烈な国民主義、自然とセヴェンヌ地方に寄せる愛着、交響曲形式と循環形式に対する嗜好という3つの面で作曲者の美意識をよく反映している。-中略-作品全体はひとつの主題《アルデシュ地方の羊飼いの歌》を基に構成されており、この主題は冒頭からコーラングレによって奏される。これにより、確固とした統一性と素晴らしい構築性を曲全体に与えている」と解説している。
2012年初演の冨田勲作曲「イーハトーヴ交響曲」の中で、部分的に引用されている。
初演
1887年3月20日、パリにて作曲者指揮コンセール・ラムルー、マリー=レオンティーヌ・ボルド=ペーヌ(本作の献呈先)のピアノ独奏で初演。
編成
- 木管楽器:フルート3(うち1はピッコロ持ち替え)、オーボエ3、(うち1はコーラングレ持ち替え)、クラリネット2、バスクラリネット、ファゴット3
- 金管楽器:ホルン4、トランペット2、コルネット2、トロンボーン3、チューバ
- 打楽器:ティンパニ、トライアングル、シンバル、大太鼓
- その他:ピアノ、弦五部、ハープ
構成
以下の3つの楽章から成り、30分弱の長さである。循環形式で構成され、冒頭でコーラングレが奏する主題(譜例)が変形されながら全曲に現れる。
- きわめて緩やかに - 中庸の速さで、生き生きと Assez lent - Modérément animé
- きわめて穏やかに、しかし遅くなく Assez modéré, mais sans lenteur
- 活き活きと Animé
演奏時間
約25分
主な録音
脚注
出典
参考文献
- 「最新名曲解説全集2 交響曲II」(音楽之友社)
- 『ラルース世界音楽事典』 福武書店
外部リンク
- フランスの山人の歌による交響曲の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト




