ズグロミゾゴイ(頭黒溝五位、学名:Gorsachius melanolophus)は、ペリカン目サギ科ミゾゴイ属に分類される鳥類。

分布

インド南部、インドネシア、カンボジア、シンガポール、スリランカ、タイ、中華人民共和国南部、台湾、日本(石垣島、西表島、黒島)、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス

夏季にインド南部、中華人民共和国南部、東南アジア、フィリピンなどで繁殖する。多くの分布域では周年生息するが、インドで繁殖した個体は、冬季になるとインドネシアへ南下し越冬する。日本では、沖縄県の石垣島、西表島、黒島に留鳥として生息するが、徳島県で春に1回観察記録がある。なお2019年には沖縄本島でも観測された。

形態

全長47-51cm。上面は赤褐色の羽毛で覆われ、細かく黒い波状の横縞が入る。下面は淡褐色の羽毛で覆われる。喉から胸部にかけて黒褐色の縦縞、胸部から腹部にかけて白と黒の横縞が入る。頭頂から後頭にかけて黒がかった青色の羽毛で覆われ、和名の由来になっている。また後頭の羽毛はやや伸長(冠羽)する。雨覆は赤褐色で、風切羽は暗褐色。雨覆や初列風切の先端は白く、次列風切の先端は明褐色。

虹彩は黄色。嘴はやや短く、色彩は黒い。後肢の色彩は黄緑がかった褐色。

幼鳥は全身に白と黒の複雑な斑紋が入る。オスはメスよりも冠羽が長い傾向がある。

生態

常緑広葉樹林や河川沿いの林などに生息する。群れを形成することはなく、単独もしくはペアで生活する。日中は木の繁みで休息し主に薄明薄暮時に活動するが、曇天や雨天時は日中でも採食行動を行う。

食性は動物食で、魚類、両生類、昆虫類、甲殻類、ミミズなどを食べる。林床を徘徊しながら獲物を探す。

繁殖形態は卵生。樹上に木の枝を束ねた皿状の巣を作り、日本では3-4月に4-5個の卵を産む。雌雄交代で抱卵する。育雛も雌雄共同で行う。

人間との関係

日本では林縁の農耕地や民家の庭でも見られることがある。

開発による生息地の破壊などにより生息数は減少している。人為的に移入された野犬や野良猫による捕食も懸念されている。

絶滅危惧II類 (VU)(環境省レッドリスト)

関連項目

  • サギ科
    • ミゾゴイ属

参考文献

  • 叶内拓哉『山溪ハンディ図鑑7 日本の野鳥』、山と溪谷社、1998年、181頁。
  • 桐原政志 『日本の鳥550 水辺の鳥』、文一総合出版、2000年、75頁。
  • 真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年、61頁。
  • 『小学館の図鑑NEO 鳥』、小学館、2002年、22頁。
  • 高野伸二 『フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版』、日本野鳥の会、2007年、108-109頁。
  • 安部直哉 『山溪名前図鑑 野鳥の名前』、山と溪谷社、2008年、307頁。
  • 『世界の動物|分類と飼育 コウノトリ目 フラミンゴ目』、財団法人東京動物園協会、1985年、33頁

外部リンク

  • IUCN 2008 Red List - Home Page -
    • BirdLife International 2008. Gorsachius melanolophus. In: IUCN 2008. 2008 IUCN Red List of Threatened Species.
  • 環境省 自然環境局 生物多様性センター
    • 絶滅危惧種情報(動物) ズグロミゾゴイ

【幼鳥】ズグロミゾゴイ Malayan Night Heron

ズグロミゾゴイ(2014.07.28) 日本の野鳥識別図鑑

ズグロミゾゴイ(2022.09.04) 日本の野鳥識別図鑑

ズグロミゾゴイ(2022.09.18) 日本の野鳥識別図鑑

ズグロミゾゴイ(2022.12.04) 日本の野鳥識別図鑑