AMX-10Pは、フランスの歩兵戦闘車。ドイツのマルダー歩兵戦闘車と並ぶ、西側諸国最初期の歩兵戦闘車である。AMX-VCIの後継としてイシー=レ=ムリノー工廠 (AMX) により1960年代に開発され、1973年に就役開始。1994年までに約1,800両が生産された。
概要
車体は全溶接アルミニウム製で、ウォータージェット推進による渡河能力とNBC防護機能を有する。
前部左側に操縦席、その右側にエンジンが配置され、中央部にはM693 F1 20mm機関砲とNF-1 7.62mm機関銃を装備した2名用砲塔を備える。後部は兵員8名を収容する兵員室となっている。
フランス陸軍では、2005年に装甲防御力や機動力の向上を目的とした近代化改修を108両に対して行った。爆発反応装甲キットも用意されている。しかし、2008年以降、フランス陸軍では新型のVBCI歩兵戦闘車に順次更新されて退役する予定である。
バリエーション
- AMX-10P 25
- 20mm機関砲を25mm機関砲に換装したもの。シンガポールが採用。
- AMX-10P/Milan
- ミラン対戦車ミサイルランチャーを2基装備。
- AMX-10P/HOT
- HOT対戦車ミサイル用4連装ランチャーToucan IIターレットを搭載。
- AMX-10TM
- 120mm迫撃砲 RTの牽引車両。
- AMX-10P PAC 90
- 火力支援・対戦車戦闘車両。GIAT社製TS 90砲塔に90mm砲を搭載。兵員も4名搭乗できる。シンガポールとインドネシアが採用。
- AMX-10P Marine
- 水陸両用能力を強化した海兵隊向け。武装は、12.7mm重機関銃/25mm機関砲/90mm砲の三種類が存在。インドネシア海兵隊が採用。
- AMX-10PC
- 指揮統制車。
フランス陸軍の配備部隊
- 第1機械化歩兵旅団 - 第1狙撃連隊
- 第2機甲旅団 - チャド行進連隊および第16猟兵大隊
- 第3機械化歩兵旅団 - 第92歩兵連隊
- 第7機甲旅団 - 第35歩兵連隊および第152歩兵連隊
採用国
- ボスニア・ヘルツェゴビナ
- フランス
- ギリシャ
- インドネシア
- イラク
- モロッコ
- モロッコ陸軍 - 2024年時点で、10両のAMX-10Pを保有。
- メキシコ
- カタール
- カタール陸軍 - 2023年時点で、40両のAMX-10Pを保有。
- サウジアラビア
- シンガポール
- シンガポール陸軍 - 2023年時点で、22両のAMX-10Pと22両のAMX-10 PAC90を保管。
- アラブ首長国連邦
出典
参考文献
- The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2024) (英語). The Military Balance 2024. Routledge. ISBN 978-1-032-78004-7
関連項目
- AMX-10RC
- 歩兵戦闘車
- フランス陸軍




